中国共産党は新疆だけでなく、回族のムスリムが住む地域で「ハラールの普及」に対する迫害と取り締まりを続けている。
新疆ウイグル自治区 でムスリムの大規模な拘束と「同化」が激化する中、中国共産党 はその 新疆 を「治める」経験を 回族 のムスリムが住む国内の別の場所へも輸出している。特に、各省のムスリムコミュニティのある地域で、「ハラールの一般化」を取り締まり、排除するさまざまなキャンペーンが、常時実施されている。中国共産党にとって「ハラールの一般化」とは、ムスリムのアイデンティティのシンボルを使ったり、食べ物以外の生活の分野においてもムスリムの規定を優先したりすることである。しかし、「ハラールの一般化」に対抗するキャンペーンは、結局はハラール食品そのものも狙うことになる。
Bitter Winterは、「公共の場におけるアラビア文字と宗教的要素の包括的調査と規制及び『ハラールの一般化』問題」と題する文書を入手した。今年初めに河北 省 の地元政府が発行したものである。通知には、中央政府、省政府、地方政府からの要求により、「ハラールの一般化」の取り組みのみならず、公共の場におけるアラビア語の文字と宗教的要素は必ず管理下に置かなければならない、と書かれている。さらに、アラビア文字と宗教的要素を公共の場や施設で決して使ってはいけないという。既にあるアラビア語の文字と宗教的要素は解体もしくは修正をして「是正」しなければならない。
この「是正」キャンペーンの一環として、ハラールレストラン、ムスリムの生徒用の学食、ハラールフード、そしてムスリム世帯で「ハラール」を意味する漢字とアラビア語の文字を掲げることも禁じられた。
今年1月6日、環球時報の英語版も、河北省で中国共産党当局が完全にアラビア語のシンボルを完璧に点検し、残っていたものは撤去し、レストランも含めた公共の場でその利用を禁じていることを報じた。政府はこうすれば「汎アラビア化」を抑制できると考えているのだ。
地元のムスリムとBitter Winterは、アラビア語はムスリムにとって象徴的な意味を持つものであり、当局の動きは明らかに回族の心から民族的、宗教的アイデンティティを奪うことを目的としている、と主張した。
Bitter Winterが得た情報によると、河北省の当局は昨年からアラビア語のシンボルを撤去するキャンペーンに本腰を入れ始めたという。2018年10月、河北省滄州 市 の管轄下にある孟村回族 自治県 ではアラビア語のシンボルの大規模な撤去が行われた。レストラン、食料品店やその他の店にいたるまで、通り沿いに並ぶ店舗のアラビア語の印やシンボルはほぼ取り除かれた。
河北省と同様に、「ハラール」を意味する漢字とアラビア文字を撤去するキャンペーンは新疆に隣接する甘粛省でも展開され続けている。
臨夏回族 自治州 の次には、甘粛省の地級行政区としては平涼市が省内最大のムスリム居住区になった。平涼市のムスリム民族文化も厳しい取り締まりを受けている。昨年、地元当局は、貧しい生徒のためのアラビア語学校の閉鎖を命じた。「ハラール」やその他のアラビア語の言葉を撤去するキャンペーンは今も続いている。
平凉市崆峒 区 の紫金城 街道 にあるレストランの従業員がBitter Winterに話したところによると、2018年11月上旬、勤務先のレストランに都市管理職員が突如「捜索」に訪れたという。「その日、都市管理の制服を着た担当者10人がレストランに乗り付け、梯子を使って素早く『ハラール』の言葉を看板から切り取ったのです。そして『この場所でハラールの看板を掲げてはならない』と冷たく言い放ちました」。
通りのレストランやバーの看板からアラビア文字や宗教的要素を持つその他のシンボルが撤去されただけでなく、別の通りの店舗の看板も「浄化」されたことを従業員は明らかにした。
私はその場で何人かの店主を訪ねた。特定の文字が都市管理職員によって看板から外されたことに言及すると、職員は事前に一切通達せず、ただ直接、無理やりに「法を執行」したのだと説明する店主もいた。
回族のレストランのウインドー前で70代の高齢の男性が小さな椅子に腰掛けている。10センチほどの顎ひげをたくわえ、大きな綿のコートにくるまっている。男性の頭上にある看板は既に「是正」、「浄化」されていた。
「都市管理職員はただの山賊です。しつこくやって来ては粗探しをし、私たちを生かしておいてはくれません。このような嫌がらせが続くなら店を開けておくのも難しくなるでしょう」。男性は絶望の声を上げた。
李文生による報告