今年初め頃、ある農民が自分の財産と権利を守ろうとして死亡した。家族は正当な賠償を得られていない。
2017年11月、福建省の霊川鎮当局は不動産のプロジェクトで私腹を肥やそうと、地元の農民の土地を強制的に収用した。しかし、農民の王鳳泉(ワン・フォンチュエン)(仮名)さんは政府から何も補償金ももらえなかった。
数日後、王鳳泉さんの73歳になる母の呂鳳者(リュ・フォンジャ)(仮名)さんは土地の収用について、村主任の王仙発(ワン・シェンファ)氏に説明を求めた。しかし、村主任は回答しなかったばかりか、彼女を殴打した。呂鳳者さんは暴行により気を失って地面に倒れた。医者の診断によれば、彼女には多くの軟組織の挫傷が認められた。呂鳳者さんには元々、精神的な障害があった。
農民の王鳳泉さんはこの事件を警察に届け出たが、警察署は受理しなかった。このため、王鳳泉さんは当局と長期間、激しく論争をした。ある日、当局は王鳳泉さんに「村主任は彼の母に暴行していない」との声明文を書くよう強要したが、彼はそれを拒絶した。
2018年3月、村書記の前任者の周德棋(ジョウ・ドウチー)氏と村主任が王鳳泉さんを拉致する計画を立てた。王鳳泉さんは、ある日の帰り道に2人の警察と10人以上の暴漢に連れ去られた。ある農
民はこの拉致の一部始終を目撃し、王鳳泉さんの家族に伝えた。
王鳳泉さんの家族は警察署を訪れ、彼の行方を尋ねたが、警察は話すのを避けた。数日後、王鳳泉さんの家族は彼が死亡したという情報を得た。そこで村役場に赴き説明を求めたが、またしても相手にされなかった。
1人だけ、王鳳泉さんは捕まった後に自殺したのだと家族に打ち明けた警官がいた。家族は意味が分からない、話が不十分であると言ったが、警察は答えてくれなかった。
最後に、家族の質問に我慢できなくなった鎮書記の林海斌(リン・ハイビン)氏は政府が王鳳泉さんを捕まえるのに同意したことを伝え、政府が暴漢を雇ったことも正直に話した。
王鳳泉さんの家族は彼を弔おうと、遺体の返還を求めたが、当局に拒絶された。さらに当局は警備員に電気棒で彼の妻と妹に電気ショックを与えるよう指示した。彼女たちはその場で気を失って倒れた。
村書記の前任者の周德棋(ジョウ・デーチー)氏はまもなく、村民にこの事件に関与したことを認めた。彼は次のように語った。「私にも罪はあるが、すべては副鎮長の王春樹(ワン・チュンシュ)氏が自分で仕組んだものなので、責任を追及されても、数日拘留で釈放されるだろう」。
政府の内部告発者によると、農民の王鳳泉さんは拉致された後、殴り殺されたという。このため、彼の遺体には複数の痣と血痕があり、現地の公安局と省公安庁は立件できないという。
この後、王鳳泉さんの家族は北京に行き、莆田当局に直訴したが、効果はなかった。この事件は現地で波紋を呼んだが、当局はずっと、裁判と賠償に応じようとしない。
林一江による報告