2018年の9月、湖北省の全能神教会の信者が逮捕され、1ヶ月も経たないうちに死亡した。遺族は当局が法律に違反する行為を行い、死に至らしめたと考えている。
9月19日、湖北省武漢市で羅瑞珍(ルオ・ルイチェン)(仮名)さんが逮捕された。羅さんは、中国で迫害の主な標的にされている宗教団体の全能神教会の信者であった。
羅さんは現地の留置所に勾留され、2人の担当官から24時間体制で監視されていた。逮捕されてから3週間後、羅さんは夫と電話で話すことを許された。羅さんの夫は担当官の一人の携帯電話に電話をかけ、短い会話を交わした。
10月14日、羅さんが首吊り自殺を図ったと村の党委員会から夫に告げられた。夫と家族が共産党委員会に急行したものの、羅さんの死亡に関する情報を得ることはできなかった。党の職員からは羅さんが「政治犯」であるため、誰も助けられなかったと伝えられた。
翌日、親族は再び集まることにした。今回は20人の親族が現地の警察署を訪れた。警察は、羅さんが自殺を図ったと説明したものの、親族は、羅さんは24時間体制で監視を受けていたため、不可能だと主張した。さらに、留置所の担当官との面会を要求したものの、受け入れられなかった。今日にいたるまで、羅さんの遺族は、留置所はおろか、電話でも担当官と接触することができていない。
しかし、警察は家族の圧力に屈し、羅さんの遺体が保管されている遺体安置所へ連れて行くことにした。家族は羅さんの遺体を撮影したが、遺体安置所を出る間際に警察に携帯電話を取り上げられ、写真のデータを全て削除されてしまった。さらに、携帯電話を1年間にわたって監視すると告げられた。
逮捕から丁度1ヶ月が経過した10月19日、羅さんの遺体は火葬された。
羅さんの遺族が火葬場に到着すると、携帯電話を没収され、2人しか入ることを許可されなかった。
火葬場に入ることを許された2人の家族は、額と首に傷跡があったと報告した。これは死亡する前に身体に暴力を受けていたことを示している。また、首吊り自殺したことを確認するために口を開けて舌を見ようとしたものの、許可されなかった。さらに服を着替えさせたいとの申し出も、職員に拒否され、立ち去るよう求められた。
火葬の準備が整うと、警察官が遺体を外に運んだ。家族が再び駆けつけ、舌を確認しようとしたものの警察に押し戻された。翌日、私服警官が監視の目を光らせるなか、遺灰は埋葬された。
身分証明書に加え、死亡証明書、火葬証明書、検死証明書等の羅さんの死亡に関する書類は、本来ならば法律に従い、家族に引き渡すべきものだが、警察が所持していた。
羅さんの親族は、当局の行動を目の当たりにして、当局が正確な死因や、拘留中に死亡した際の状況を隠していると考えている。親族が真相解明を試みると、警察は親族の中にいる全ての全能神教会の信者を逮捕すると脅した。
沈湘による報告