「ポルノと違法な出版物を廃止」する運動の一環として、中国政府は宗教施設に狙いを定め、出版物の規制を強化している。
言論と活字の自由の制限は、宗教の信仰を弾圧するために 中国共産党 が利用する手法の一つだ。2018年3月以降、聖書のインターネット及び書店での販売が中国では禁止され、讃美歌集やその他の宗教関連の書物も国が認可し、出版したものをのぞき、教会内で所有することを禁じられている。
8月、中国中央部、河南 省 鄭州 市 二七 区 にある馮荘 三自教会 では、「ポルノと違法出版物を廃止」するための運動を推進する横断幕とパネルが掲示された。このような掲示を神聖な場所で行うべきではないと考える信者たちは悲しみに暮れた。
教会のスタッフの一人は「ポルノと違法出版物を廃止するための政府の運動は、教会でも実際に行われています。これは神を中傷する行為です」と述べた。
「これは単なる中傷ではなく、教会の教えに大きな問題があると誤って信じさせるために悪魔が仕掛けた罠なのです」と別の信者は怒りを露わにした。
「ポルノと違法な出版物の根絶」(中国語で「掃黄打非」)は、文化市場を管理する際に中国当局が取る方法の一つである。「掃黄」(文字通り「黄色を一掃する」という意味だが、黄色は中国語でポルノを指すことがある)は、ポルノのコンテンツを含む本やオンライン情報を排除することを指す。「打非」(文字通り「違法なことを打倒する」という意味)は、違法な出版物と戦うための取り組みを指す。
今月の上旬、鄭州市二七区の宗教事務局は、宗教施設の代表者を集め、施設で違法出版物に反対する運動に関する情報を掲示するよう求めた。
中国中央部、湖北省崇陽 県 の政府が公開した文書『「非行犯罪を一掃し、悪を根絶」するため、そして、宗教分野の「ポルノと違法出版物を廃止」するために全ての市民が行動を起こし、業務を実施せよ』では、「暗黒及び邪悪な勢力」と「ポルノ及び違法出版物」が、宗教の信仰と関連付けられている。
この文書はインターネット上の「有害な情報」の管理を要求している。尚、有害な情報とは、「党の執行部や中国の社会主義システムを弱体化し、歪め、あるいは否定する出版物や情報」と定義されている。また、検閲には「宗教関連の内部情報出版物」及び公共の場での視聴覚製品の配布も含まれている。
中国共産党が掲げる宗教の方針と規制に違反する宗教施設の聖職者による説教と演説は禁止されている。また、この文書は、公認を受けた礼拝の場以外での宗教活動、さらに、宗教分野の思想の安全と安定に影響を及ぼすその他の状況も違法だと指摘している。さらに、市民に対し、このような「違法」行為を通報するよう促している。
中国北東部の3つの省は、宗教施設に狙いを絞った「ポルノと違法出版物を廃止する」ための運動を開始した。大勢の信者が、所属する三自教会が突然政府の検査の対象になったと報告している。政府が出版していない全ての新聞、讃美歌集、福音の資料、そして、とりわけ聖書は押収され、場合によっては焼却されることもある。
4月、中国北東部、遼寧省沈陽市蘇家屯区にある楓楊路三自教会で韓国語の聖書が見つかり、1万人民元(約15万3,000円)の罰金が教会に科された。また、聖書の販売を禁止する命令も下された。
8月、遼寧省の沈陽市にある出版社が、仏教関連の書物を印刷したとして通報され、捜査を受けた。この出版社は、賄賂とコネを使い、制裁を免れた。
政府が認めない海外の書物を所有していることが判明すると、さらに厳しい処罰が下される。5月、モンゴル語の書物とシンガポールの出版物が内モンゴル 自治区 のヒンガン 盟 ホルチン 鎮 にある三自教会の集会所で見つかった。この教会の信者の一人によると、表紙のない本や出版社の情報が記されていない本が全て押収されたようだ。政府はこの問題を「海外の宗教の侵入」と扱い、施設の責任者は「怠慢な管理」の責任を問われ、降格処分を受けた。
古奇による報告