山東省での宗教弾圧がエスカレートしている。地域の政府職員は教会を取り締まり、信者を調査することで、上級職員の訪問に備えている。
2018年9月、統戦部 は中国全土の 省 及び地方政府で宗教政策が実施されているかどうかを確認するための全国的なプログラムを初めて実施した。この検査では、中央政府の検査班が全国の地域を訪問し、命令通りに宗教弾圧が行われていることを確認する。
5月のはじめ、国家宗教事務局 の検査班が中国東部、山東省を訪問した。昨年、山東省では政府による厳しい弾圧が行われていた。 「河南式」と呼ばれる宗教弾圧モデルに従い、教会から十字架が強制的に撤去され、仏像は「中国化」または破壊され、そして、イスラム教の看板は排除された。
検査に備える現地の政府
中央政府の職員の到着を前に、省政府の職員は事前に調査を行い、政府公認の 三自教会 を含む多くの礼拝の場に「是正」通知を送ったようだ。
2月15日、淄博 市 臨淄 区 の宗教事務局は様々な三自教会の代表者を呼び、省の検査班が調査を開始したことを伝えた。全ての 家庭教会 の閉鎖を目標に掲げ、現地政府には市民を動員して、私的な集会所を通報させるよう命令が出ていた。宗教事務局の職員は、宗教団体に場所を貸している地主も懲罰の対象になると話した。
ある 鎮 の政府職員は、省の検査班が鎮で問題を発見し、下級の役人の責任を追及したことを伝えるメッセージをWeChatのグループで投稿した。このメッセージの内容は次のとおりだ。
検査中、省の党委員会の検査班は、宗教団体に無償で場所を提供している村、そして、公共施設を宗教団体に貸している村を複数発見した。今後、これらの問題が見つかった村は、問題のある政治観を持つ村と見なされることになる。まずは、党内に役職を持つ党の支部の書記を安心させる必要がある。続いて、党の委員会の責任者を叱責し、最も責任の重い者から説明を要求する。現在、宣伝部は残業して、宗教施設の所有者の状態を調査している。党の一般の支部の各書記には党委員会に対して責任ある態度で臨み、各村の党の支部の書記に伝えることが求められている。公共施設が[宗教団体に]利用されている場合、上司に正直に報告し、宗教団体に対しては制限時間内にできるだけ早く場所を空けるよう要求する必要がある。現在、宗教に対しては、調和のとれた指導を行い、種類別に管理し、長期的に制限することが求められている。
全ての十字架の撤去を命じられた政府職員
4月3日、淄博市臨淄区の鎮の当局は、建物が建ち並ぶ地区に十字架があると景観を損ねるという理由で強制的に三自教会の十字架を撤去した。
同日、臨沂市荘塢鎮の東高尭 村 にある三自教会から十字架が取り外された。この教会は13万人民元(約206万円)を投じて、十字架を設置していた。
3月25日、「村の党員会から距離が近過ぎること、そして、党および政府機関への侵入に関わること」を理由に、臨沂市の蘭山区にある三自教会から一夜にして十字架が撤去された。一部の信者は、以前から集会の中止を口頭で伝えられていたと話した。政府職員は「上官からの通知」を実施したと述べていた。通知に逆らうと、村の党の書記は職を解かれるという。
3月8日、十字架と漢字の「郭堂教会」及びその他の宗教の象徴が菏沢市終興鎮の三自教会から撤去された。新しい党委員会の事務所が教会の近くに建てられることが撤去の理由であった。
三自教会の牧師によると、現在行われている山東省の宗教弾圧では、全ての十字架の撤去が求められているという。牧師はこの弾圧が政治的な任務として処理されていることを明かした。つまり抵抗は許されず、十字架の撤去を拒否する教会は閉鎖に追い込まれる。
信者の個人情報が登録される
今年の4月、聊城市の複数の郷の政府が会議を行い、宗教を信仰する市民の情報を集め、システムに登録することを求めた。キリスト教徒、仏教徒、道教 の信者が調査の対象に挙げられた。その一方で、法輪功 の学習者と 全能神教会 の信者は調査と取り締まりの主なターゲットであり、当局は「一人も省略してはならない」と告げた。
全能神教会が提供するデータによると、4月16 – 18日、山東省の警察は組織的な作戦を実行し、徳州市、泰安市及び聊城市で全能神教会の50人以上の信者を逮捕したようだ。
仏教と道教の寺院もまた激しい弾圧に晒されている。済寧市館駅鎮の政府職員によると、4月12日だけで、鎮内の18ヶ所の小さな寺院が取り壊されたという。
3月末から4月中旬の間、臨沂市では少なくとも17の寺院が強制的に取り壊された。その多くは深夜に行われた。
李明軒による報告