2018年の8月から10月にかけて、中国北東部、黒竜江省の大慶市で、当局は10ヶ所以上の家庭教会を閉鎖に追い込み、数百名の信者たちが礼拝の場を失った。
家庭教会の弾圧には共通する、憂慮すべきパターンが存在する。しかし、閉鎖の経緯は教会によって異なり、伝える価値がある。
例えば、五湖新区の新村ハイテク産業地区にある家庭教会は、20年にわたり信者たちのために礼拝をおこなってきた。しかし、8月17日、警察が牧師を逮捕し、家主に集会会場の貸し出しを中止させたことで、この教会は閉鎖に追い込まれた。教会の閉鎖後、信者たちは小さなグループでしか、集会を開けなくなった。
10月上旬、譲胡路区の当局は家庭教会の根絶を目指す横断幕を掲げ始め、大きな通りにも小さな通りにも反宗教のスローガンが掲示されるようになった。宗教の私的な集会に参加すれば、地域社会や行政区は5,000人民元から1万人民元(約8万1,900円から16万3,900円)の罰金が科されると繰り返し警告を行ってきた。譲胡路区の2ヶ所の集会所は地域社会として集まるのではなく、3-4名に分かれ、小規模な集会しか開けなくなった。信者たちは、共同体ではなく、細胞のように「小さく分かれな集団」になったと感じ、嘆き悲しんだ。集会の頻度も1週間に2度から1度に減った。
同じハイテク産業地区で閉鎖の運命を辿った4つ目の家庭教会は、より大きな損失を被っていた。警察による嫌がらせと強制捜索により、信者たちが80万人民元(約1,300万円)を投じて購入した集会の会場が使われなくなり、100人近くの信者が、集会の場を失った。
上述のストーリーは、信教の自由と集会の自由を重視する人々には憂鬱でしかない。しかし、残念ながら、これらのストーリーは序の口に過ぎない。
場所代が高額であり、高級な地域にあっても、弾圧から逃れることはできない。ある地域の信者たちは450万人民元(約7,400万円)を投じて、大慶市の万達オフィスビルの14階にある500平方メートル近くのスペースを取得した。しかし、この集会の会場は閉鎖され、100人以上の信者と、日曜学校に通う約50人の子供が教会を失った。
8月、この教会は市内のホテルでサマーキャンプを企画した。小中学生だけでなく、大学生も参加し、総勢100人近くが参加した。このキャンプの最中、警察がホテルに押し入り、数人の大学生を逮捕した。大慶市の市長と宗教事務局長は、サマーキャンプと日曜学校の閉鎖に直接に関わっていた。
キャンプの閉鎖後、信者たちは教会のロビーに2台の監視カメラが設置されていることに気づき、ドアの鍵に手が加えられた痕跡も発見した。結局、この地区の信者たちは、多額の資金を投じた集会の場を諦め、代わりに小規模な集会を個別に行う羽目になった。
しかし、集会の場が弾圧を受けても、信者は信仰心を失っていない。それどころか、大勢の信者たちは直面する犠牲に特別な意味を見出している。例えば、大慶市のサルト区(薩爾図区)にある別の家庭教会は、小規模な集会を開くために、50人の信者を5つのグループに分けなければならなくなった。しかし、信者たちは今でも隠れて大規模な集会を月に1度執り行っており、安全上の理由から、人里離れた養豚場に集まっている。
信者たちにとって、養豚場は見方によっては神の恵みであった。不快な臭いのなかで集会は行われるのだが、ある信者は記者に「表面上、家庭教会は最悪の弾圧を受けているように見えるかもしれません。しかし、実際に最も不幸なのは三自愛国教会です。国旗の掲揚、国歌の斉唱、偶像の崇拝、政府への服従、そして、神の御言葉への反抗を強要されています。状況は最悪で、時に危険ですが、私たちは精神的な安らぎを得ています」と語った。
朴俊英による報告