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Bitter Winter

中国における信教の自由の迫害と \n 人権に関する雑誌

Bitter Winter (日本語) - 中国における信教の自由の迫害と人権に関する雑誌。松と竹は寒中にも色褪せず、また梅は寒中に花開く。これらは「清廉潔白・節操」という、文人の理想を表現したものと認識された。
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「義理の親族が何人も雲隠れに」ルシャン・アッバスのもう一つの9.11事件

2019-01-10マルコ・レスピンティ |

ウイグル人の人権活動家として知られる女性が、乳児を含む大規模失踪事件を糾弾した6日後、彼女の妹と叔母が失踪した。

ルシャン・アッバス(Rushan Abbas)は、自分の人生をウイグル人のための信教の自由と人権の擁護に捧げている。
ルシャン・アッバス(Rushan Abbas)は、自分の人生をウイグル人のための信教の自由と人権の擁護に捧げている。

マルコ・レスピンティ(Marco Respinti)

国連人権理事会が 普遍的・定期的レビュー(Universal Periodic Review)で中国について審査した日、私は初めてジュネーブでルシャン・アッバス(Rushan Abbas)に会った。印象深かったのは、彼女が中年の ウイグル人 女性の写真のプラカードを持っており、そこには次の言葉が書かれていたことだ。「妹はどこにいるの?妹は医者なので、職業訓練は必要ありません」。新疆ウイグル自治区 で多数の人を収容する強制収容所は、実のところ、公式名称を 「教育による改心」のための強制収容所 としており、そこに収監されている人々は拷問を受けて死んでいくにもかかわらず、中国共産党 は収容者の宗教的な過激思想を治癒するための「職業訓練」を提供しているのだと主張している。

ルシャンは過激派でも何でもない。彼女はウイグル人のイスラム教徒で、現在、西側諸国に暮らし、その欠点にもかかわらず西側諸国を高く評価している。西側諸国において、ルシャンは同胞の人々の 人権 の擁護者である。祖国でもかつては人権活動家であり、米国では世界的な名声を博した。けれどもそれには、高い代償がついてしまった。

アッバスは1985年から1988年にかけて新疆大学で民主主義を推進するデモを行っていた元学生運動家で、1987年には大学で学生科学文化連合の副会長を務めた。学生連合は、現在の 世界ウイグル会議(World Uyghur Congress)の会長、ドルクン・エイサ(Dolkun Isa)によって設立された組織で、彼女はそれ以来、ずっとエイサと密接に協力してきた。米国では、アッバスはカリフォルニアに拠点を置く天山海外学生学者協会(Tengritagh Overseas Students and Scholars Association)の共同設立者である。同協会は1993年に設立された米国初のウイグル人の組織で、アッバスはその組織の初代副会長を務めた。彼女が後に草案作成に寄与した憲章と規制は、1998年にウイグル米国協会(Uyghur American Association、UAA)設立の青写真となり、重要な役割を果たした。UAAは全米民主主義基金(National Endowment for Democracy)から資金の供給を受けている。アッバスはその後2期にわたってUAAの副会長に選出された。1998年に米国議会がワシントンDCに拠点を置くラジオ・フリー・アジア(Radio Free Asia)でウイグル語サービスの資金援助を決めたとき、アッバスは最初のウイグル人レポーター兼アナウンサーを務め、毎日ウイグル地方へ向けてラジオ放送を行っていた。

2002年から2003年にかけて、アッバスはキューバのグアンタナモ湾で通訳として不朽の自由作戦(Operation Enduring Freedom)に関わった。また、米国議会のメンバーと国務省の関係者に対してウイグル人の人権状況とその歴史と文化について幾度となく説明し、議会の委員会と人権委員会(Human Rights Commissions)における証言を手配した。彼女は自分の専門知識を他の連邦・軍事当局にも提供し、2007年に当時のジョージ・W・ブッシュ大統領と、プラハ在住でウイグル人の世界的に有名な道義的指導者であるラビア・カーディル(Rebiya Kadeer)との間の会議をサポートした。その年の後半、彼女はホワイトハウスで当時のファーストレディ、ローラ・ブッシュとも会い、新疆(中国の地名だが、ウイグル人は「東トルキスタン」という名称を好む)の人権状況について説明した。

新疆の状況の悪化に伴い、アッバスはウイグル人のためのキャンペーンを起ち上げ、人権と民主的自由を推進する運動を展開している。

ルシャンの妹のグルシャン・アッバスは、ルシャンの夫の親族同様、忽然と姿を消した。彼女に待ち受けている運命を知る人は誰もいない。
ルシャンの妹のグルシャン・アッバスは、ルシャンの夫の親族同様、忽然と姿を消した。彼女に待ち受けている運命を知る人は誰もいない。

グアンタナモ湾という地名からは、テロと拘留を想起させます。どうやってそこに関わるようになったのですか?

キューバ沿岸の米海軍基地にある軍の刑務所であるグンタナモ湾収容所(一般的に「Gitmo」(グアンタナモ基地)として知られている)に関わるようになったのは、「グルジャ事件」の後に22人のウイグル人が、この収容所に拘禁された件とつながりがあがります。1997年2月上旬、独立を求めた30人の唱道者が処刑され、ウイグル人としてのアイデンティティが抑圧されたことがきっかけで、新疆ウイグル 自治区 の 県級市 であるグルジャ市で抗議運動が連続して発生しました。2日間にわたるデモの後、2月5日に警察はデモの参加者に暴力をふるい、発砲することで解散させました。その日に撃たれて死亡した人の数は、政府当局の公式発表では9人ですが、私たちは100人以上が殺害され、最大で167人に上るとみています。1,600人ほどが逮捕されたという説もあります。私の話と関わってくる22人のウイグル人は、中国から脱出し、国境を接する中央アジア諸国に逃れることに成功しました。

けれども、国境を越えても新たな魔の手が彼らに迫っていました。上海協力機構(Shanghai Cooperation Organization、SCO)です。2001年6月15日、中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタンの指導者たちは、中国の上海で、ユーラシアの政治的、経済的および安全保障上の同盟の創設を発表しました。その後、2002年6月にSCO協定が調印され、2003年9月19日から活動を開始しました(2017年6月8日にインドとパキスタンも参加)。その協定にはテロに協力して対峙することが含まれています。つまり、「テロ」は他の国々に押し付ける力を持つ国が定義することになるのです。基本的にこの協定があることで、中国政府がウイグル人に関して要求していることを、中央アジア諸国も常に実行することを意味します。それはつまり、ウイグル人を逮捕し、強制送還することです。

そのため、「グルジャ事件」から難を逃れた22人のウイグル人は、再び逃走しなければなりませんでした。彼らは保護を約束してくれ、さらにトルコ、カナダ、米国とは異なりビザを必要としない、パキスタンとアフガニスタンに到着しました。22人の悪夢が始まったのは9月11日の同時多発テロ事件後、米軍がアフガニスタンを急襲した時です。戦争地帯を脱出しようとしているとき、パキスタンの賞金稼ぎに囚われて、外国人戦闘員として米国当局に一人あたり5,000ドル(約55万円)で売り払われてしまったのです。けれどもそれは、(間違っていますが、)中国が彼らをテロリストと宣言したことが端緒でした。結局、22人のウイグル人は、グアンタナモ基地に収監されることになりました。その後、2002年から2003年にかけて包括的に調査をした結果、米国政府は、22人に対するテロ容疑が間違っていたこと、米国やその同盟国に何も脅威を与える者たちではないことをはっきりさせました。しかし、釈放後にどこの国に向かうのかは、新たな大問題でした。中国政府は、グアンタナモ基地から解放されたウイグル人の再定住を受け入れないよう各国に圧力をかけていたからです。その結果、潔白の22人は囚人として4年間から11年間、グアンタナモ基地にとどまることになりました。

私は米国在住のウイグル人として、アフガン戦争に関わっていた国防総省の請負業者の1社から連絡を受けました。2002年初めから12月にかけて、グアンタナモ基地で通訳として働かないか、と持ちかけられたのです。通訳の仕事を終えて基地から離れた後の2003年4月、もう2か月間戻って通訳をしてほしいと頼まれました。結局、基地には合計で11か月間、フルタイムで働いていました。2006年、収監期間が無期限に延長されたとき、私は22人のウイグル人を擁護するチームに加わり、人身保護令状の申請を行いました。弁護士と私は、オバマ政権と密接に協力して彼らが再定住できるように尽力し、最終的には、アルバニア、バミューダ、パラオ、スイス、エルサルバドル、スロヴェニアに送られることになりました。正義が勝ち、彼らは晴れて自由の身になったのです。カナダを拠点として活動する、受賞歴のあるチリの映画制作者、パトリシオ・アンリケス(Patricio Henriquez)監督は、この話を基に映画を制作しました。『Uyghurs: Prisoners of the Absurd』(仮訳:『ウイグル:不条理な囚人』)です。この映画は、2014年10月10日にモントリオールのフェスティバル・デュ・ヌーヴォー・シネマでプレミア上映されました。私も台本づくりにかかわり、その場面では、私自身も映画に出演しました。この映画は後に英国、オランダ、チェコのプラハの国際ドキュメンタリー映画祭で上映され、さらにトルコと台湾のドキュメンタリー映画祭のオープニング作品となりました。

あなたは新疆で生まれ、そこで勉学に励みましたね。ウイグル人として暮らしていた当時の思い出にはどのようなものがありますか?

私は新疆のウルムチ 市 で生まれ育ち、1989年5月に祖国を離れました。子供時代、青春時代の思い出は、豊かでカラフルな民族的なウイグル文化で彩られています。毛沢東 の 文化大革命 の暗黒時代が過ぎ去った後のことで、約10年間、とても楽しい時を過ごしました。

米国に来た理由と、そこに留まろうと思った理由は何ですか?

米国へは修士号を取得するために、1989年5月9日にやって来ました。最初に、私はワシントン州プロッサーにあるワシントン州立大学の灌漑農業研究普及センターに客員研究員として所属し、後に大学院生として植物病理学部に入学しました。米国に留まることにしたのは、米国に到着してすぐの1989年6月4日、共産党の命令が引き金となって天安門事件が起きたからです。戦車が市内を走行し、砲撃しているのをテレビで観ました。帰国しないことを決心するには十分な理由でした。

ルシャン・アッバスとマルコ・レスピンティ。2018年11月27日、ジョージ・ワシントン大学のエリオット国際関係大学院で開催された、中国におけるウイグル人の大規模収容に関するシンポジウムにおいて。
ルシャン・アッバスとマルコ・レスピンティ。2018年11月27日、ジョージ・ワシントン大学のエリオット国際関係大学院で開催された、中国におけるウイグル人の大規模収容に関するシンポジウムにおいて。

迫害を受けるウイグル人のための人権活動を始めたのはいつからですか?

ウルムチの新疆大学の学生だった頃から、人々の代表として活動していました。米国で活動を始めたのは、新疆でウイグル人の死傷者を出した暴動や事件が1990年代に頻発した頃からです。

「One Voice One Step」はアッバスさんが提唱された偉大なキャッチフレーズですが、それについてお話をお聞かせいただけますか?

2017年4月から新疆の状況は急速に悪化したのですが、国際社会、メディアや各国政府は沈黙を続けました。恐ろしい残虐行為が起こっているにもかかわらず、国際的には関心をもたれていませんでした。ウイグルアカデミー(ウイグル国家の科学と教育を推進するために2009年9月9日にイスタンブールで設立)と、私の兄である米国フィラデルフィアのドレクセル大学のリシャット・アッバス博士(Dr. Rishat Abbas)(ウイグルアカデミーの名誉会長であり、世界ウイグル会議の上級顧問を努めるとともに、在米ウイグル人協会(Uyghur American Association)と、ウイグル人権プロジェクト(Uyghur Human Rights Project)の共同設立者の1人)の助けを借りて、2017年10月に学術会議を開催しました。そこで、私はパネリストの1人として紹介されました。その目的は、今でこそ正式に「教育による改心」のための強制収容所と呼ばれる新疆の拘留所について、主要メディアの注目を集める方法を見つけ、世界中のウイグル人を導いて人権運動を巻き起こすことでした。2018年1月、私は海外のすべてのウイグル人の組織や活動家を巻き込み、世界規模で抗議活動を行うことを思いつきました。女性たちがこれらの抗議行動を率いれば、国際的なメディアの注目を集められるかもしれないと考え、私は世界中のウイグル人女性に連絡し、詳細な計画を練るために小さな諮問グループをとりまとめました。それは結局、「One Voice One Step」(OVOS)と呼ばれるWhatsAppグループに発展し、私たちの組織である「ウイグル人のためのキャンペーン」(Campaign for Uyghurs)のイニシアティブの名称になりました。「OVOS」は非常に明確なメッセージを持っていました。それは「私たちの故郷で行われている残虐行為に対して、皆の声を合わせ、海外のすべてのウイグル組織やウイグル人活動家と一緒に前に一歩踏み出すこと」です。その努力が結実して、3月15日、ニューヨークで開かれた第62回国連女性の地位委員会(UN Commission on the Status of Women in New York)の会合に合わせて、国連本部の前でデモを行い、続いて国連の中国代表団に対して抗議活動を行いました。世界中で同じ日に、オーストラリア、ベルギー、カナダ、フランス、フィンランド、ドイツ、オランダ、ノルウェー、スウェーデン、スイス、トルコ、日本、イギリスの計14か国18都市で22時間にわたって、一致団結して抗議活動を行いました。

新疆に住んでいる親戚の何人かが姿を消しましたね・・・

ホータン市に暮らす夫の親族が忽然と姿を消しました。69歳と71歳の農家を営む夫妻、その娘のうち3人と義理の娘1人、4人の娘の夫たちがいなくなってしまいました。私と夫のアブドゥルハキム・イドリス(Abdulhakim Idris)は、2017年4月以来、彼らと連絡が取れない状態が続いていて、彼らが全員、悪名高い強制収容所に連行されたのではないかと危惧しています。夫の3歳から22歳の14人の姪と甥が今日どこにいるのか、私たちには見当がつきません。中国内陸部の児童養護施設に送られたのかもしれません。夫の弟、アブドゥルヒム・イドリス(Abdurehim Idris)が20年の懲役刑を宣告されたとも聞きました。この出来事を受けて、2018年9月5日、私はワシントンD.C.で開催されたハドソン研究所(Hudson Institute)の会議にパネリストの1人として参加し、新疆で中国政府が犯している残虐行為、私の夫の親族が置かれているだろう境遇、そして強制収容所の状況を公にすることにしました。この会議から6日後の9月11日、私の叔母と妹のグルシャン・アッバスが姿を消しました。遠い親戚からは叔母が釈放されたと聞きましたが、妹とは音信不通の状態が続いています。

信教の自由と人権を支持するご自身の活動が原因で連行されたとお思いですか?

妹と叔母が標的にされたのはおかしなことです。2人は有名人ではなく、作家や詩人、教育者というわけでもありません。どちらも国外のイスラム教の国を訪れたことはなく、流暢に中国語を話します。標的にされるウイグル人は、海外渡航歴のある人(「テロ」や「外国勢力」との「共謀」の嫌疑をかけられる)や、中国語(北京語)が話せない人(話せない人は、中央政府から、無知な不具または独立主義の反乱者の兆候として見られる)であるケースが大多数だからです。妹は政府が経営する病院で医師として働いていました。妹も叔母も、いわゆる「職業訓練センター」(すなわち強制収容所)に送られる人の通常の基準もあてはまらないのです。そのため、彼女たちが拉致された理由は、「連帯責任」しか考えられないと断言できます。彼女たちは、米国で活動している私に対する共産党による報復の犠牲者です。

習近平国家主席のすべての宗教に対する戦いは非常に冷酷です。このやり方は最近始まったのでしょうか、それとも以前から行われているのでしょうか?

ウイグル人とイスラム教徒を同時に、強烈に敵視するのは、習近平 が初めてです。その根底にあるのは、世界で支配的な地位を得たいという彼の圧倒的な夢です。今日、東トルキスタンの全人口が習近平の一帯一路構想の犠牲になっています。一帯一路構想というのは、アジア、ヨーロッパ、アフリカ全体でインフラを構築し、投資を行う壮大な開発戦略で、「新シルクロード」という名称でも知られ、帝国主義的な中国の夢である「中国製造2025」(Made in China 2025)の最終解決案です。「中国製造2025」というのは、2049年までに中国を世界をリードする製造・技術強国にするという3段階計画のうち、グローバリゼーションを「中国的に」定義しなおす最初の段階です。ハドソン研究所の中国戦略センターの所長であるマイケル・ピルスベリー(Michael Pillsbury)博士は、著書『The Hundred-Year Marathon: China’s Secret Strategy to Replace America as the Global Superpower』(仮訳:百年マラソン:米国に代わり世界の超大国となる中国の秘密戦略)(ニューヨーク: St. Martin’s Griffin、2015)の中ではっきりと述べており、占領された東トルキスタンは、世界を統治する青写真の戦略的中心にあります。

1949年の毛沢東国家主席による東トルキスタンの占領以来、政府はウイグル文化と宗教を容赦なく破壊しようとしてきました。ウイグル人は「民族主義者」、「反革命者」、「分離主義者」というレッテルを貼られ、迫害されてきたのです。9・11の悲劇の後、共産党当局はその取組みを「テロとの戦い」と改名しました。新疆地域全体が、このように色塗られたのです。処罰は文化に対して、集団規模で行われています。何百万という人々が、犯罪を行った嫌疑なしに逮捕され、拘束されています。県や地区、近隣のコミュニティが、割り当てられたノルマを達成することに必死です。中国はすべての抵抗を「イスラムによるテロ」と特徴付けており、それを口実にして、DNAの収集、あらゆる場所への監視カメラの設置、顔認識ソフトウェア、車両へのGPS追跡装置搭載を基礎に監視体制を敷いています。新疆全域が、警察国家になったのです。

米国ではウイグル人に多くの同情が寄せられています。マルコ・ルビオ(Marco Rubio)上院議員が議長を務め、クリストファー・H・スミス(Christopher H. Smith)下院議員が共同議長を務める、中国問題に関する連邦議会・行政府委員会は、中国の現状をさらけ出し、迫害されている新疆のイスラム教徒の証言を聞くための公聴会をしばしば開催しています。これに何を期待しますか?

私が見るところ、米国が寄せる同情、そしてウイグル人に対する米国の政治家の支援は、本物の人権の観点から来ています。ウイグル問題に関して、米国は常に正義と正しい行いをする側についています。そのため、力強く意義深い行動を取るところを見たいと思っています。例えば、そのような恐ろしい残虐行為や人道に対する罪を犯した中国当局者に対して、グローバル・マグニツキー法に基づく制裁を発動することが挙げられます。また、2018年11月中旬に上院外交委員会の有力メンバーであるルビオ上院議員とロバート・メネンデス(Robert Menendez)上院議員、それにスミス下院議員が法案を提出した、ウイグル人権政策法に支持が集まるところを見たいと思っています。また、この地域に調査団を派遣したり、ラジオ・フリー・アジアのウイグル語サービスの放送時間を拡大したりすることも希望しています。このような行動は、ウイグル人の大規模拘束などを白日の下に晒し、世の中に伝える上で不可欠です。地域の実情を伝えることは、世論を操作する北京の共産党政権が仕組んだ情報封鎖とメディアの検閲によって妨げられているからです。

米国では多くの人がイスラム教徒と米国との間には自然と敵対的な関係があると見ているようですが、ウイグル問題の場合はその逆の反応を示していますね。

米国政府と国会議員は、前述した1998年のラジオ・フリー・アジアのウイグル語サービスへの資金拠出に始まり、22人のウイグル人をグアンタナモ基地から解放する取組みを続け、ウイグル人の民主運動をいつも力強くサポートしてくれています。これらの出来事は、安心できる関係を築くためのターニングポイントでした。私は、米国政府と米国国民が、中国共産党政権の邪悪な目的にようやく気づき始めていると思います。中国のナショナリズムは、米国を世界の超大国から引きずり落とすことだけを目指しているのではなく、世界の民主主義と自由を中国の全体主義的な哲学と体系で置き換えることを目指しています。今、新疆は前例のない危機的な状況に置かれています。世界がこのひどい状況を前にして共産主義の中国と対峙しないなら、大規模監視、抑圧と蛮行のために、世界は闇に覆われ、私たちが今日享受しているような自由な世界に終止符が打たれてしまうことでしょう。

タグ : 「教育による改心」のための強制収容所, イスラム教徒のウイグル族, 人権, 新疆ウイグル自治区

マルコ・レスピンティ

マルコ・レスピンティ(Marco Respinti)氏はイタリア人のジャーナリスト、エッセイスト、翻訳家、講演者である。イタリア国内外の複数の紙上およびオンラインのジャーナルや雑誌に寄稿している。著書の一つ、2008年に出版した作品では中国における人権に懸念を示していた。ミシガン州メコスタを拠点とするアメリカの無党派・非営利の教育団体、Russell Kirk Center for Cultural Renewal(ラッセル・カーク文化再生センター)の上級研究員の肩書きを持つ。オランダのハーグを拠点とする非営利・無党派・汎ヨーロッパの教育団体のヨーロッパ再生センター(CER)の設立者の一人でもあり、委員に就任している。そして、CESNURジャーナルとBitter Winterで担当役員を務める。

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