あるイスラム教徒の家族4人が無期限で拘留され、家族は崩壊した。新疆ウイグル自治区の現状を象徴する出来事である。
2017年5月、中国当局は信仰を「根こそぎにする」のを目的とした文書を発表した。これは本質的に一般市民がお互いに、宗教的な行為をする人を告発し合うのを促すものであった。
2017年6月、1人のイスラム教徒の女性が拘束された。この女性たちと同時に拘束されたのは14人に上った。3カ月後には彼女たちに刑が課された。警察はある女性の息子のサラーマット(Salamet)(仮名)さんに、「お母さんはしっかり『学習』ができていないから、まだ会えない」と伝えた。
2018年1月、当局はサラーマットさんと彼の父が母と通話することを許した。しかしビデオ通話の時間はたったの5分だった。言い間違いによる報復を心配して、彼女はただ元気と繰り返すしかなかった。その後、サラーマットさんは二度と母に会うことができていない。父はそのことに気をもみ、一時は入院するほどであった。
2018年3月、状況はさらに悪いものとなった。今度はサラーマットさんの妻が拘束されたのである。彼女とともに6人が拘束され、刑務所に入れられたが、逮捕の原因はいまだに不明である。
前回と同様に、サラーマットさんがビデオ通話で妻と対面したとき、彼女はただ自分が元気だと伝えただけで、他に何も話さなかった。サラーマットさんは、彼女は脅迫されて心の内を話せないのだと気づいた。彼らの通話は盗聴されており、もっと話せば報復が待っているのである。
この時、サラーマットさんの家庭状況はさらに大変な状況になった。彼の母と妻が家にいないばかりか、病気の父と2人の子どもには世話が必要であった。サラーマットさんは仕事を辞めようとしたが、脅されてできなかった。仕事を辞めるには正式な理由を挙げなければならない。サラーマットさんの状況で仕事を辞めれば、中国共産党に対して不満を抱いているとみなされるのである。
昨年は、サラーマットさんの義理の姉が拘束された。彼女はずっと釈放されないでいる。2015年には彼の甥の妻のアレナ(Alena)(仮名)さんが拘束された。誰かが、彼女がよくイスラム教の礼拝を捧げていると通報したためである。彼女の事件は法廷で審理されることなく、彼女には禁固5年の刑が下された。
サラーマットさんは、新疆は大きな監獄みたいだと言う。「自分の一家に起こったことは、新疆の数えきれない家庭の真実を映している。ウイグル族は迫害されており、我々には人権がないのだ」と語っている。
李在立による報告