中国における政府の管理下に置かれている教会の信者は当局の徹底した監視を受け、個人のプライバシー及び信教の自由を侵害されている。
2019年2月、中国東部、江蘇 省 淮安 市 淮陰 区 のプロテスタント系三自愛国運動委員会の会長が報告書の中で、2018年、同区の170ヶ所の政府公認のプロテスタント教会のうち155ヶ所に監視カメラが設置されたと伝えた。そのうちの120ヶ所は通常の政府映像監視ネットワークに接続され、残りの教会は公安機関に接続されたという。
この教会の指導者は無力感を覚えている。「宗教事務局は監視カメラを設置するよう圧力をかけてきました。各カメラは宗教事務局の要求に応じ、公安機関に接続されています。公安機関は教会内の全ての行動を見ることができます。当局の要求に従わない場合、教会は閉鎖に追い込まれます」とこの教会の指導者は説明した。
画像録画及び音声録音機能を持つ十数台の監視カメラが同地区の丁集 鎮 の三自教会にも導入された。監視カメラは庭の前と裏、礼拝室及びロビーに設置されている。
信者たちは、このようなネットワーク化された監視体制に不満を抱えている。この教会の指導者は「集会を執り行う度に、地域の 統戦部、公安局 及び鎮政府が、特命を与えた人員を教会に派遣し、監視を行います。この人員は交代でコンピュータの前に座り、教会の全ての信者の一挙手一投足を監視します。集会に参加する信者は気軽に会話することもできない状態です」と説明した。
家庭教会 から三自教会に移ったキリスト教徒は「家庭教会の集会は引き続き弾圧を受けています。三自教会でも自由がなくなる日がやって来るとは夢にも思っていませんでした」と話した。
丁集鎮の教会の責任者は、宗教事務局にとって監視カメラは教会の日常的な活動を把握するための絶対に欠かせない情報源ではないかと考えている。「当局は状況を確認し、信者の言動を管理することができます。これはプライバシーの侵害だけでなく、教会の業務に干渉する違法行為に当たります」とこの教会の責任者は話した。
国家宗教事務局 は2015年から「宗教分野における治安映像監視建設ネットワーク適用工作の良い働きに関する通知」を各省と市の宗教事務局に送り、宗教施設の公共の領域を100%監視カメラで網羅するよう要求していた。
中国共産党 が宗教に対する弾圧を強化するにつれ、監視カメラが網羅する範囲は宗教施設の公共の領域を超え、現在では、寄付箱、さらには洗面所にまで拡大されている。
楊廣安による報告