ある中学校の教師が友人との会話の中で、地元政府のやり方にうんざりしていると述べ、中国共産党の政策に対する不満を漏らした。その結果、この教師は職を失い、学校の教職員は厳格な管理下に置かれることになった。
2018年8月、新疆ウイグル自治区カシ市の中学校教師、陳強(チン・チャン)(仮名)さんは、友人とのオンラインチャットで、政府が行っている「ホームステイプログラム」について話をしていた。このプログラムは教師など公的組織で働いている職員に、ウイグル族の家族との生活を強要し、彼らに共産主義思想を教え込むというものだ。チャットの中で、陳さんは「新疆で公務員をするのには疲れたよ。陳全国(チェン・クァングォ)があと10年も、続けるようなら、お先真っ暗だ」と書いた。陳全国は現在、共産党の新疆ウイグル自治区を担当している書記である。
それから間もなくして、陳強さんは警察に身柄を拘束され、尋問を受けた。その一方で、地元政府と教育局の党委員会の幹部が学校に、陳さんの解雇を命じた。
それから数日後、学校幹部は会議を開き、職員が中国で最も人気のソーシャルネットワーキングサイト「WeChat」や「QQ」を使用する際のルールについて話し合った。
学校に勤務している共産党委員会の書記は、教師がイスラム教徒の祝い事や祭日、新疆の治安維持などについて話すことを禁じると主張した。また、「疲れた」などの言葉の使用にも禁止するように警告した。「政府の注目を引くような情報」を投稿したことが判明すれば、オンライングループのチャット管理者とともに罰を受ける。
陳さんがチャットにより免職になって以来、地元政府は中国共産党の政策が実行に移されたかどうかについて校長を指導するため、この学校に職員を数名派遣している。その結果、教師たちはオンラインチャットの利用方法について頻繁に指導されるだけではなく、携帯電話やソーシャルメディアアカウントも学校の幹部の抜き打ち検査を受けるようになった。
陳さんの元同僚は「陳さんは現実を語っただけです。悪いことは何もしていません。こんなことで逮捕され、解雇通知を受けるのは、表現の自由の剥奪ではないですか」と本紙の記者に語った。
さらに、「学校で一日中教えて、へとへとなんです。その後に、ホームステイプログラムやパトロールに参加しないといけません。どれほど疲れているかを口にしてはいけないし、休暇も取れない、退職も許されません。言われたことを無条件に従うしかない状況です。従わなければ、よくて教化授業に参加、ひどい場合は刑務所行き。こんな不当な扱いを公に語れないなんておかしくないですか」と漏らした。
事情に詳しい情報提供者によると、昌吉市のある学校では、ホームステイプログラムを実施中の教師たちに、ウイグル族の家庭での滞在結果を政府のオンラインプラットフォーム上にアップロードする際は、「ラマダン」や「断食」、「拘束される」といった言葉を使わないこと、「ZD(主要人物)」「SJ(教化授業に送致された人)」「SY(拘束された人)」などの隠語を使うことを指導しているという。
また、この学校の幹部は、滞在先の家庭から質問を受けた場合には、細心の注意を払って回答するよう教師に繰り返し指導している。
例えば、強制収容所に拘束されている家族がいて、その釈放日について自尋ねられた場合は、教師は「収容は彼らのためだ。中国語、中国の法律なとのスキルを教えている」と答え、数年は出てこられないという事実を伝えないよう命じられている。
李在立による報告