中国当局は、仏教の関連施設および象徴への取り締まりを強化している。保護されている歴史遺産や文化遺産も例外ではない。
信仰をもつことに対する中国の攻撃のあり方は、ますます 文化大革命 に類似してきており、同国の伝統的な宗教である仏教と 道教 さえも迫害から逃れることはできない。多数の寺院が、閉鎖や破壊に追い込まれ、仏像が強制的に取り壊されている。爆薬を用いては破壊されることもある。Bitter Winterには仏教への弾圧がエスカレートしていることを示す衝撃的な報告が次々と届いている。
中国北部、河北 省 唐山 市 の南東に広がる渤海湾に観光地AAAAに指定されている菩提島風致地区、通称「海の仏教王国」が存在する。この地区は2001年2月に河北省が保護する歴史遺産およぶ文化遺産に認定されていた。
2019年2月15日、当局は、仏教施設に公金を用いることはできないという理由で、菩提島の複数の施設を封鎖した。そのなかには、潮音寺と朝陽庵も含まれていた。さらに当局はこの2つの寺院の僧侶に対し、1週間以内に敷地から去るよう命じた。
僧侶が寺を去ると、朝夕の鐘の音、そして、日課のお経を唱える声は聞こえなくなった。
同月、中国東部、山東省棗庄市の峄城 区 にある仏教の寺院も封鎖された。この寺院の建立には1,000万人民元(約1億7000万円)以上が投じられていた。現地の宗教事務局は、寺院全体に閉鎖の通知を貼り、その後、お香を焚くために訪れる信者の来訪を防ぐため、寺院の入り口を封鎖する壁を作るよう命じた。さらに、警察に対し、寺院の巡回および調査を命じた。
また、山東省費 県 の大田荘 郷 当局は、寺院の民間の建設が許可されていないことを理由に、観音禅院を「玉皇台絵画および習字学院」に転用した。
寺院の中庭に鎮座していた観音像は大理石の板で完全に覆われた。寺の内部の仏像は全てスチールパイプとベニア板で覆われ、当局は人々が寺院に出入りし、参拝および焼香を行うことを禁止した。
宗教事務局は、費県費城鎮の北鞏庄 村 にある寺院を閉鎖し、入り口に置かれていた大きな香炉を破壊した。
中国中央部、江西省九江市修水県にある兜率禅寺も厳しい取り締まりの対象となった。2018年11月、現地の郷政府の職員が寺院の所有者に対し、屋外にある高さ18メートルの銅製の観音像を取り壊すよう命じた。政府の認可を受けずに建設したことが理由とされた。
寺院の僧侶の一人は「私たちの手で観音像を取り壊さなかったら、政府は像を解体し、取り壊していたはずです。また、寺院全体も取り壊されてしまう可能性もありました」と話した。
取り壊しから守るため、寺院の所有者は100万人民元(約1,700万円)以上を投じて建立した銅像の取り壊しを、業者に要請した。
「心のなかには仏様がいます。仏様は偉大です。しかし、政府は私たちに党に従うよう求めています。従わなければ、問題をになるでしょう」と信者の一人は話した。
中国共産党 政権の下では、これといった法律は存在しません。権力のある者が法律を制定するのです。説得を試みると、「反革命主義者」のレッテルを貼られ、命を奪われて、二度と発言することができなくなります。許可を得ていた寺院でも、政府は別の理由をつけて取り壊します。庶民には主張するための場所がありません」と現地の高齢の僧侶は述べた。
沈心然による報告