イタリア共和国大統領と首相に宛てた公開書簡
親愛なるセルジョ・マッタレッラ(Sergio Mattarella)大統領
親愛なるジュゼッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相
習近平 中国国家主席のイタリア訪問が始まろうとしています。私たちは、中国がイタリアの重要な貿易のパートナーであり、貿易協定が会談の焦点であることを理解しています。
イタリアはさまざまな状況において一貫して 人権 を断固擁護してきました。そして、人権があらゆる二国間交渉に含まれることを繰り返し言明してきました。
中国の人権の状況は多方面で深刻な懸念を引き起こしています。私たちの組織は 信教の自由 の問題を専門に扱っています。現在、中国の信教の自由の制限は、文化大革命 以降、かつてなかったほど最悪の事態に陥っています。
中国は、中国共産党 が管理する,ごく少数の宗教組織に限って運営を認めていますが、その団体でさえ制約にさらされているのです。たとえば、未成年者が活動に参加したり、伝道活動を行ったりすることはできません。宗教に関する新法が2018年に施行され、中国共産党が管理する宗教団体以外の全団体に対する抑圧が激化しました。プロテスタントの 家庭教会 もその一つです。
聖座と合意したにもかかわらず、中国共産党管理下の「中国天主教愛国会」への加入を拒んだカトリックの司祭は今なお嫌がらせを受けており、逮捕される可能性もあります。
また、法輪功 や 全能神教会(大規模なキリスト教の 新興宗教団体)などの団体は 邪教(「異端の教え」)であるとして禁じられています。つまり、その団体の会員は容赦なく捜索、逮捕され、禁止団体で活動したというだけで処罰されているということです。拷問、殺害されたという記録さえあります。2018年4月から6月の3か月という短期間に法輪功の学習者305人が逮捕され、拷問、法的手続きのない処刑、臓器摘出などが起こったという報告が続いています。2018年の1年間だけでも、全能神教会信者の11,000人を超える逮捕、525件の拷問、記録に残っている限り、拘束中、あるいは警察官の虐待の結果による20件の死亡を確認しています。邪教の迫害は、犯してもいない罪で信者を告発するという大規模なフェイクニュースのキャンペーンで正当化されています。
チベット仏教に対する中国共産党の管理のあり方は信者たちにとって今も耐えがたいものです。中国全土で、さまざまな口実で仏教と 道教 の像が破壊されています。学術調査によって、少なくとも100万人の ウイグル人 とその他のムスリムが 「教育による改心」のための強制収容所 に拘束されていることが分かりました。
中国共産党は、それは「学校」だと主張していますが、実際はどこをみても 監獄 そのものです。中国共産党はこの収容所は「テロ」を防ぐために必要だと反論するのですが、同じ中国当局が、テロを起こす疑いのあるウイグル人は数百人だと認めており、それがジャーナリスト、知識人、芸術家を含む100万人を投獄する理由にはなりません。
この現実を無視して、貿易やその他の合意を形成することはありえません。その価値と伝統に忠実なイタリアが、習近平主席とのあらゆる会話の中で、人権と信教の自由を取り上げてくださることを私たちは信じています。
Bitter Winter、中国の信教の自由に関する日刊誌
支援者:
CAP-LC – Co-ordination of Associations and Persons for Freedom of Conscience(社団及び個人の良心の自由協会)
CESNUR – Center for Studies on New Religions(新興宗教研究センター)
FOB – European Federation for Freedom of Belief(欧州信仰自由連合)
EIFRF – European Inter-Religious Forum for Religious Freedom(宗教の自由に向けた欧州宗教間フォーラム)
FOREF – Forum for Religious Freedom Europe(宗教の自由フォーラム欧州)
HRWF – Human Rights Without Frontiers(国境なき人権)
LIREC – Center for Studies on Freedom of Belief, Religion and Conscience(信仰、宗教及び良心の研究センター)
ORLIR – International Observatory of Religious Liberty of Refugees(難民の宗教的自由の観察機関)
SOTERIA International – Spiritual Human Rights(SOTERIA インターナショナル – スピリチュアルな人権擁護団体)
公民力量(Citizen Power Initiatives for China)
Danish Mission Council(デンマーク伝道評議会)
DMCDD – Danish Mission Council Development Department(デンマーク伝道評議会振興部)
EMISCO – European Muslim Initiative for Social Cohesion(社会的団結のためのヨーロッパムスリムのイニシアチブ)
Omnium des Libertés(万人の自由連盟)
UPF Switzerland – Universal Peace Federation Switzerland(世界平和連盟スイス)